※2022年8月25日時点の内容です
国籍はフィリピンですが、母が外交官で海外を飛び回っていたおかげで様々な文化に触れながら育ちました。兄弟と一緒に、母が行く先にどこでもついて行ったので、4歳から10歳までをいくつかの国で過ごすことができました。その後フィリピンに戻りましたが、私が高校生の頃、母が日本に赴任することになりました。それが私にとって初めての日本だったのですが、この土地ととても強い繋がりを感じたのです。日本での生活があまりにも楽しかったので、いつかまたここに住んで仕事をしようと決心しました。
理由はいくつかあります。例えば、日本の効率的なところや、時間通りに物事が進んでいくところが好きです。またカスタマーサービスが非常が大切にされていて、皆さんとても親切で礼儀正しいです。説明するのが難しいですが、たとえ言葉が通じなくても、自分が日本人に見えなくても、ここに自分の居場所があるように感じました。
海外で育ったからこそ、どこか別の場所の身を置きたいと思ったのかもしれません。自分自身を追い込み、向上させられる環境で頑張ってみたい、それならば海外に出ることが一番だと考えました。それが私のやりたいことのように感じました。
大学を卒業してすぐ日本の求人に応募し始めましたが、そう簡単にはいきませんでした。 GaijinPot(日本で働きたい外国人対象の求人サイト)上で、1ヶ月に100件は応募したと思います。英語教師のポジションに応募していたのですが、非英語圏出身の私はとても苦戦しました。
そしてようやく四国で仕事を見つけることができました。徳島県の阿南市というとても小さな町に住み、同じ大企業に属する英会話学校や学童、保育園の英語教師として働きました。
日本に住めば住むほど、もっとここで視野を広げていきたいと思うようになりました。東京に引っ越して教師の仕事を見つけ、その後、企業で働きたいと思うようになりました。教師から企業へと転職するには、私のように日本語を母国語としない人の受け入れを担当するリクルーターになるのが最もスムーズな方法の一つだと知りました。
まずは金融に特化したのブティック型人材紹介会社に入社し、アセットマネジメント関連職、フロント・ミドル・バックオフィス、証券・保険会社などの職種を担当しました。約2年後に別のブティック型人材紹介会社に転職し、業界もテクノロジー領域に切り替えました。
金融は、個人的に投資に関心があり、しばらくは面白く感じていたのですが、やがて新しい分野にも踏み出したくなりました。前職でテックチームに入ることを希望し、幸いにもそれが叶ったのです。機械学習の仕組みや、テクノロジーがいかに多くのことを可能にするかといったことを学び始めると、好奇心が尽きないように感じました。
当時働いてたのは非常に専門的な分野に特化したブティック型の人材紹介会社だったので、担当したクライアントは2、3社のみでした。その中でも、ある1社に強い思い入れを持ち、その会社の代理人となることに情熱を傾けるようになりました。1社を代表し、その企業のプロセスを十分に理解し、採用担当者や面接官などのステークホルダーと信頼関係を構築するために、直接やりとりをする。こういったことを私はもっとやりたいのだと気づきましたが、やはりエージェンシー側の立場からできることには限界がありました。そこで、インハウスのTA(Talent Acquisition)ポジションを探し始めることにしたのです。
SmartNewsアプリを使っている友人から話を聞いたり、LinkedInなどで掲載している求人情報を見て知りました。また前職でも、スマートニュースのことは耳にしていました。人材紹介会社のテック部門で働いており、テック市場について知ることも仕事の一環だったので。
スマートニュースに応募したのは、私が求めていたものがそこにほとんど揃っていたからです。テック領域で、日本で仕事を続けられること。さらにスマートニュースはスタートアップ企業でもあり、成長できるチャンスや学びがたくさんある環境だと思いました。若いうちに自分を奮い立たせ、採用や人材育成の観点から、ビジネスが一からどのように構築されていくのか知るために必要な経験を積みたかったのです。
でも、それだけが入社理由ではありません。強く印象に残ったのは、スマートニュースの採用プロセスでした。すでに何社か面接を受けていたので、面接とはどのようなものか大体はわかっていましたが、スマートニュースで受けた最初の面接はまるで違っていました。エンジニア採用担当のピーター・ドゥーランが面接官でしたが、まるで同僚と会話しているような感覚で、率直な対話ができました。私の職務適正を見極めるために、ただ用意された質問リストをこなすのではなく、本当に私のことを知りたいと思ってくれていることが伝わってきました。
採用マネージャーのKazumichi Hamazakiさん、プロダクト・グループヘッドのTakahiro Ogoshiさん、エンジニアリング・グループヘッドのKai Inokuchiさん、HRグループヘッド、そしてCSOのYi Renさんにお会いしました。
面接官と候補者で、共につくり上げていくようなプロセスでした。どのインタビューも一方的でも事務的でもはなく、面接を通過する度に、さらに多くの人に会ってみたいという気持ちが高まっていきました。私は、採用チーム以外の人たち、エンジニアリングやプロダクト部門の人たちも、同じようなマインドセットやエネルギーを持っているのか知りたいと思いました。
採用マネージャーのKazさんは、スマートニュースで働くことの良い点だけでなく、まだ改善の余地がある点についても常に率直に、本音で話してくれ、その誠実さに感銘を受けました。そして入社した今だからこそ言えることですが、スマートニュースはすべての候補者に対してこの姿勢を保っているということです。ありのままの事実を伝え、候補者に自分で判断してもらうようにしており、私はそのような会社の姿勢を尊敬しています。
北海道・ニセコ町でスキーを楽しむDona
最初は自分を過小評価していたように思います。本当にリクルーターとしてやっていけるのか、他部門や役割の異なるステークホルダーとうまくコミュニケーションが取れるのか、不安だらけでした。でも、その期待に応えられたと思いますし、とても楽しくやらせてもらっています。
予想外によかったことの一つは、人材の組織化や育成といった新しい分野にも携われたことです。マニュアルの作成やプロセスの改善、そして最終的な成果物を関係者やグローバルパートナーにプレゼンテーションするなど、自分のスキルをフルに発揮できていると感じています。まだまだ学ぶべきことはたくさんありますが、こういったプロジェクトを任されるほど信頼されているのは嬉しいですね。とてもいい勉強になっています。
とても有能で、お互いを高め合えるような仲間です。例えば、私の先輩であるピーターは、私の改善点をストレートに伝えてくれますが、同時に功績についてチームの前で共有してくれることも忘れません。自分の努力が認められると励まされるのと同時に、まだまだ向上する努力が必要だと意識させられます。
また、私たちは非常に多様性に富んだチームです。私はフィリピン出身ですが、アメリカ、台湾、そして日本出身の同僚がいます。日本人の同僚2人も、長い間アメリカで生活していました。皆それぞれユニークな仕事経験と人生経験を持っており、それがチームに活かされています。そのおかげで、うまくお互いに支え合えていると思います。
不確実性を許容できる人ですかね。スマートニュースは組織として大部分は確立されてきていますが、まだ構造化されていない部分もあります。仕事のベストプラクティスは、組織の成長と変化に合わせて日々変わっていくので、例えば今日あるものが明日にはないかもしれません。特に入社直後は、ルールもまだわからないまま、いきなりそのような環境に飛び込んでいくことになります。ですから、そのような不確実性を受け入れ、誰かから指示を受けるまで待つのでなく自分の直感を信じて正しいと思うことを実践する自信があれば、スマートニュースでうまくやっていけると思います。
自分のキャリアの中で、これまで経験したこと、特に失敗したことについて振り返ってみてください。「今までで一番大きな失敗は?」これは実際に私が面接時に聞かれたことであり、また個人的に好きな質問の一つです。この質問には、さまざまな要素が含まれています。実は、説明の仕方によっては、成功談よりも失敗談の方が、自分らしさをアピールできるチャンスだと思います。その経験から何を学んだかを強調することが大切です。
おすすめの本を通して人を知る
Victoria Devine著『She’s on the Money(女性のためのお金の使い方)』は、自らのマネー・ストーリーを理解することから、貯蓄、副業、投資など、あらゆることについて語られています。自分の好きなものを犠牲にせずに、最適な経済的判断をしていく。そのために、女性としてそして人として、お金と良い関係を築くことが重要だと思います。ちなみに、私は個人的には、旅行とブランチが大好きです。
この本はとても親しみやすい視点で書かれていて、楽しく読めました。好景気であろうと、パンデミックや景気後退の予兆があろうと、自分のお金の価値観を意識し、人生の目標に向かって力を発揮し続けることが大切だと思います。人生は短いですから、最大限に満喫しましょう!
『She's on the Money』(英語版のみ)
著者:Victoria Devine
出版社:Random House Australia
出版年:2021年