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AI時代に「ひと」の通訳者ができること

2025年07日29日

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スマートニュースにはすこし珍しいチームがあります。

それは、社内会議の通訳や社内資料の翻訳を専門に行う「Global Language Solutions Team(GLS)」です。日本・アメリカ・シンガポールに拠点を持ち、世界各国のメンバーが集うグローバルな環境のため、社内コミュニケーションにおいても日本語⇔英語の通訳翻訳ニーズが日々あらゆる場面で絶え間なく発生しています。

通訳翻訳は、一般的には外注されたり、近年ではAIによって代替されたりする領域です。けれど私たちはあえてインハウスで、しかも「ひと」によるコミュニケーション支援にこだわり続けています。

それはなぜか。GLSは、ただ翻訳や通訳を行うだけのチームではないからです。言語の壁を越えて「つながるため」に存在するチームだから、「ひと」の通訳者の存在が欠かせないのです。

GLSは、スマニューのミッションから生まれた。

こんにちは、Head of People CommunicationsのLeiです(画像右)!その名の通り、「ひと」に関連するコミュニケーションを幅広く担当しており、実はこのInside SmartNewsを立ち上げて運営している一員でもあります。この記事では、私がマネジメントをしているGlobal Language Solutions Team(GLS)の紹介をしていきます。

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」

これはスマートニュースが掲げるミッションです。この「世界中の」というスケールの大きな言葉を本気で実現するためには、社内の情報もまた、誰にとっても届くものでなくてはならないと私は考えました。

2018年に入社した私は、当時CEO直下の1人チームとして通訳翻訳チーム(現在のGLSの前身)を立ち上げました。初期のチーム立ち上げにあたっては、CEOであるKaiseiさんと何度も膝を突き合わせて「スマートニュースにおける言語支援の理想のあり方とは何か?」を徹底的に話し合いました。

誰に対して、どのように、どんな優先順位で言語サポートを提供すべきか。そのプロセス設計から運用ルール、緊急対応の判断軸に至るまで、すべてゼロから構築していきました。

Kaiseiさん自身も「社内に通訳者がいることの意味」に強い信念を持っており、ただ外注するのではなく、ミッションや企業文化に深く共感する通訳者がインハウスにいることの価値を明確に信じていました。

Global Language Solutions Teamの設立は、そうした信頼と議論の積み重ねのなかで実現したものです。その上で、GLSは単なる通訳翻訳チームではなく、「言語の壁を越えたInternal Communicationのあり方をどう築くか?」という問いに応える存在として、歩み始めました。

初めての仲間、Hidekiとの再会。

GLSの最初の仲間は、2019年に入社したHideki(写真左)でした。実は前職でも同僚で、長年信頼している通訳者です。通訳としては非常にスタミナと安定感があるのが強みで、幅広いドメインの通訳経験もある「通訳経験値」がとても高いメンバーです。スキーのインストラクターの資格(CSIA Level 1)も持ち、台湾で育ったので実は中国語も話せます!

通訳者としての高い技術を持つだけでなく、スマートニュースの価値観にも深く共感しています。GLSはただの通訳チームではなく、組織のコミュニケーションの質を支える存在。それを一緒に体現してくれるたいせつな仲間です。

なぜ、インハウスであることにこだわるのか?

1. 社内と業界文脈の理解

GLSの通訳者は、参加している会議で話題となるプロジェクトの背景や進捗、イベント登壇者の性格や発言の傾向、チーム内のメンバーどうしの温度感など、ひとやジャンル問わず幅広く複雑な社内文脈を理解したうえで通訳します。「この人がこの場でこの発言をする意図は何か?」まで考えて訳出(やくしゅつ)することで、単なる言語変換ではない「信頼を媒介する通訳」が可能になります。

2. スピードと柔軟性

急な会議や資料変更にも、即応できるのがインハウスの強みです。社内リズムを知っているからこそ、プロジェクトのスピード感にも寄り添えます。また、政治や経済、災害といったニュースの世界は動きが早く、幅広い情報にアンテナを張ってキャッチアップしておく必要があります。あわせて、日々変化するのがあたり前の当社のような環境では、インハウスの強みが活かしやすいのです。

3. ミッションとつながった当事者意識

私たちはスマートニュースの一員として、通訳を「成果の手段」として捉えています。「この議論がきちんと前に進むように」「相互理解がきちんと築かれるように」。そうした共同成果へのコミットメントが、GLSの本質的な強さだと思っています。この姿勢は、スマートニュースのCore Valuesのひとつである「Nothing is somebody else's problem(ひと事なんてない)」にも通じています。 自分の役割に閉じず、チームやプロジェクトの成果を「自分ごと」としてとらえ、積極的に関与すること。それが、GLSの在り方そのものです。

「ひと」の通訳者だからこそできること

技術の進化は目覚ましく、通訳翻訳の未来は大きく変わろうとしています。正直、焦りや不安を感じることがないわけではありません。

しかし、GLSの通訳者は、さまざまな立場や視点が交差する会議のなかでも、発言の背景にある思いや、繊細なニュアンスを丁寧に汲み取りながら通訳を行うことができます。そうした場面では、単なる言葉の置き換えではなく「今この空間で、何が共有され、どう受け止められるか」に深く意識を向ける必要があります。

そこには、「ひととひとをつなぐ温度感」が確かに存在しています。

また、生成AIの発展を脅威ではなくチャンスと捉え、言語分野で人と技術が共に活躍できる形を模索することも、今後のGLSの役割です。そのため、私たちはチーム名にも「通訳翻訳」ではなく「Language Solutions」という言葉を敢えて使っています。

言語の壁をどう越えるか、そのためにどんな手段・技術・知恵を組み合わせられるか。
GLSは、そこに挑み続けるチームです。

GLSは伝えるを越えて「つなぐ」チームへ

今、私自身は「Head of People Communications」として、組織全体のInternal Communicationsを見渡す立場にいます。そのなかでもGLSは、私たちの言葉や考えを「誰にとっても届く形でつなぐ」という役割を担い続けてくれています。

通訳・翻訳とは、「文化をつなぐこと」であり、「信頼を育てること」であり、「多様な才能が同じ方向に向かうための土壌を耕すこと」でもある。まさに「社内中の情報を必要な人に送り届ける」こと——。そこに、私たちは日々パッションを持って向き合っています。

GLSは、伝えるを越えて「つなぐ」チームであると、私は信じています。

執筆 = Inside SmartNews編集部(山移)

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