Inside SmartNews
社員196名が参加。非エンジニア向けAI活用術「Work with AI Knowledge Share Event」を開催しました!

世界中で新しいAIツールが次々に登場し、仕事の進め方や発想の仕方、組織のあり方などあらゆるものが大きく変わりはじめています。
そんななか、SmartNewsでは生成AIを活用した新機能「スマニューAIまとめ」をリリースするなど、最新のAI技術を積極的に取り入れ、ニュース体験を進化させ続けています。

SmartNews、生成AIで主要ニュースを複数の記事から個別に要約 国内ニュースアプリ初の新機能「スマニューAIまとめ」を提供開始
そしていま、そのAIの力はプロダクトの開発現場だけでなく、社内のあらゆる仕事の場面に広がりつつあります。スマートニュースではAIを日常的に活用し、業務の効率化だけではなく、新しいアイデアや働き方を生み出す文化が根づきつつあります。
このムーブメントを象徴する社内イベント「For Non-Engineers: "Work with AI" Knowledge Share Event」が、2025年9月末に開催されました。オンラインを含む196名(あと4名で200名!)の社員が参加をしたことからも、AI活用に関する社内の関心の高さが伝わってきます。
ビジネスの最前線に立つ社員たちが、いかにAIを「パートナー」として活用し、成果を出しているのか。本記事では、その熱気あふれるセッションをレポートします。
社内の誰もが安心してAIに触れ、試し、挑めるように。
この日のイベントは、企画者であるYuki Tonfiさん(Head of JP Legal, Compliance and Public Affairs)の趣旨説明からスタートしました。

スクリーンに映し出されたのは、時間をかけてつくり込まれたスライドではなく、このイベントの企画書そのもの。無駄な仕事に必要以上に時間をかけずに本質的な情報共有に集中する、スマートニュースらしいカルチャーが冒頭から表れていました。
また、パロアルトからオンラインで参加していた共同企画者のChao Songさんからも一言メッセージがありました。

Chaoさんが率いるProcess Automation Teamが目指すのは、一部のチームだけでなく、全社員がAIをあたり前のツールとして使いこなし、会社を進化させること。そのために、非エンジニアの「困った」を全力でサポートする姿勢を表明しました。
そして、社内でのAI活用をあたり前にしていくために欠かせないのが、Securityという安心感です。イベントではLegal Teamからも説明があり、日々の業務で使う頻度の高いChatGPTやGeminiについて、会社として情報保護の観点から安全性を確認済みである点が強調されました。これにより参加者は、ガイドラインに沿ってAIとの対話に安心して集中できることを再確認しました。
感覚から「再現性のあるスキル」へ。AIとの対話を科学する

では、エンジニアでなくてもAIを自在に操るにはどうすればいいのか?
Process Automation TeamのManagerであるIsaac(アイザック) Wongさんによるベーシックブリーフィングでは、そのための体系的なアプローチが紹介されました。
目指すのは、個人の感覚に頼ったAI活用ではなく、誰もが高いレベルの結果を出せる「再現性のあるスキル」です。そのために、AIとの対話を科学的に分解し、ふたつの重要な側面に光を当てました。

まずIsaacさんが強調したのは、AIに「常に知っておいてほしい繰り返し指示やルール」をあらかじめ設定するシステムプロンプトの活用です。これは、AIを単なる質問応答マシンではなく、特定の業務を深く理解した「自分だけの専門家」へと育てるための設計図となります。
イベントでは、その設計図を誰でも描けるよう、役割(#Role)、指示(#Instructions)、ルール(#Rules)、例(#Examples)の4つの要素で構成されたシンプルなテンプレートが共有されました。
次に焦点が当たったのは、AIが思考の材料とする「知識(ナレッジ)」の質です。Isaacさんは「Garbage in, Garbage Out(ゴミを入力するとゴミが出力される)」という原則を引用し、質の高いアウトプットは、質の高いインプットからしか生まれないと説きます。
具体的には、社内のファイルやドキュメントを「公開され、整理され、常に最新である」状態に保つこと。この地道なナレッジ管理こそが、AIの能力を最大限に引き出すための、最も確実な方法だと提言しました。
イノベーションは、現場から続々と生まれている
イベントのメインであるライトニングトーク(LT)では、非エンジニア社員による具体的なAI活用事例が紹介されました。単なる事例紹介に留まらず、各発表者がどのような課題意識を持ち、どう工夫してAIを業務に活かしたかが語られました。
また、今回のLTセッションで高い注目を集めたのが、各発表後に行われるKoichi Yamamotoさんによる講評の時間です。Koichiさんは「Product Prototyper」という肩書きを持ち、「なにかつくってみたい」「業務の課題を解決したい」と考える社員をサポートするためのSlackチャンネル「#koichi塾」を自主的に運営しています。

#koichi塾のチャンネルに参加している塾生はなんと約100名。この活動を通じて、AIを使ったプロトタイプ開発を実践的にサポートしているため、一部の社員からは親しみを込めて「塾長」や「Koichi先生」と呼ばれています。
ここからは、LTセッションで発表を行った人たちのプレゼン内容を簡単にご紹介します。
登壇者1: Yusuke Yabushitaさん(Manager, Public Affairs)

社内に散在するさまざまな情報を探す困難さに対し、AIを活用した情報検索の効率化を紹介しました。Notion AIがSlackのPublic Channelの情報も検索可能である点を評価し、情報収集にかかっていた工数を大幅に削減できたと述べました。Koichi先生は、社内にたまった情報をAIを使って探すユースケースの便利さを高く評価しました。
登壇者2: Taisei Tsuzuoさん(Senior Associate, CEO’s Office)

Webベースの大量画像生成ツールを自作した事例を紹介しました。コーディング経験がないTsuzuoさんですが、AIにコードを書いてもらい、わずか数時間でプロトタイプを完成。Koichi先生は、プロトタイプは「動くモノがある」ことで議論を一気に前に進める力があると強調しました。
※Tsuzuoさんのインタビュー記事はこちら:営業からCEO's Officeへ。新卒3年目で実感した「やりたいことは言い続ける」大切さ
登壇者3: Takuya Saekiさん(Manager, Corporate Data Management)

評価レビューにおける客観性担保の課題に対し、Geminiの活用を試みました。AIが生成する「成長のための客観的なフィードバック」は、上長との1on1の充実に繋がり、Koichi先生からは「今後の人事評価のスタンダードになり得るものかもしれない」と高く評価されました。
※Saekiさんのインタビュー記事はこちら:「分断に、橋をかける」── 部署を越えた貢献が、組織を強くする|SmartNews Igniterの働き方
登壇者4: Yutaro Sugiuraさん(Manager, Business/Contract Legal & Legal Operations Senior Legal Counsel)

Legal Teamにおけるレビュー業務の自動化事例を紹介しました。特に、1件あたり最大3時間かかっていたレビューが「一瞬」にまで劇的に短縮し、単純作業を行う精神的な負担も軽減。Koichi先生からは、Legal Teamのような情報の精査に最も厳しい人たちが活用している事実が、ほかの社員がAI活用する上での安心材料になるとコメントがありました。
登壇者5: Yuki Seinoさん(JP Content Quality - Content Quality Associate)

Google App Script(以下、GAS)を活用した、AIによる記事内容のスクリーニングツールを試作した事例を紹介。記事のなかの誤植や表記ミスなどをAIが検出し、チェック工数の大幅削減に活用できる可能性を提示しました。「これが実現したらものすごい業務時間の削減につながる」とKoichi先生はエールを送りました。
登壇者6: Kanto Obataさん(JP Content Partnership - Partnership Development Associate)

「もはやAIなしでは生きていけない」と語る新卒4年目のObataさん。AIを使いこなすための3つの秘訣は「1. 対話で文脈を教える」「2. まずAIに計画を立てさせる」「3. 常に最新最高のモデルを使う」ことでした。そして、非エンジニアでありながら、なんとプロダクト機能の開発にまでこぎつけてしまった彼のストーリーは、また別の機会に紹介したいと思います。
登壇者7: Hiro Aoyamaさん(JP Channel Program Operations - Operation Manager)

「コーディング経験なし」というHiroさんが挑んだのは、GASを使った日常業務の自動化です。彼の武器は「AIにやりたいことを伝えて、GASのコードを書いてもらい、それを貼り付けて実行する」というシンプルなステップ。最後には、このプレゼン資料もGASを使って自動生成したことを語り会場を湧かせました。
好奇心が要。ひとりの「やってみた」が、組織の力へ
ひとりの成功事例を、次の誰かの「やってみたい」というエネルギーに変えていく。この知見の共有サイクルこそが、スマートニュースのカルチャーそのものです。このイベントで生まれた熱量を一過性のものにせず、さらに大きなムーブメントにしていくため、その場でイベントの毎月開催も決定しました。

Koichi先生は総括で「まずは、めんどうくさいことがあったらChatGPTやGeminiを活用する習慣がつけば、"Work with AI"が実現してめんどうくさい作業から解放されていくと思います。ぜひ、使ってみてください」と締めくくりました。
もともと、この日のイベントの持ち物として書かれていたのは「好奇心とPC」だけでした。スキルや知識よりも、新しいテクノロジーを面白がり、主体的に試してみる探究心があるか。そのある種ピュアなマインドこそが、AIを単なる道具から、個人と組織の成長を加速させる「パートナー」へと変える力になる――。
参加者一人ひとりが、そんな確信を新たにしたイベントとなりました。
文 / 撮影 = Inside SmartNews編集部(花井)
※このブログ記事は、AIによる文字起こしと下書きをもとに、編集者がAIと対話を重ねながら執筆しました。